厨房の中でひときわ強い存在感を放つ店主の姿があった。麺を茹で上げる大釜から立ち上る猛烈な蒸気の中、網ですくい上げる一瞬のタイミングを逃さない。「麺は生き物。茹で上がりの数秒の遅れが食感を台無しにする」と語るまなざしは真剣そのものだ。
釜揚げの熱々をそのまま出すか、冷水で締めて引き締まった弾力を楽しませるか。客の好みに合わせて最高の状態で提供するための配慮が、一杯の丼の中に凝縮されている。熟練のうどん職人が注ぐ執念と誇りこそが、他店には決して真似できない圧倒的な「うまい」を生み出す源泉となっている。