浅井と織田の絆を象徴するのが、信長の妹であるお市の方と長政の婚姻だ。戦国屈指の美男美女カップルとして知られる二人だが、その裏には極めて高度な地政学的計算が存在した。
近江国湖北地方は、京へ上洛するための最大の要衝である。信長にとって、この地を治める浅井家を味方に引き入れることは天下統一への最優先課題だった。長政もまた、織田家の圧倒的な資金力と革新的な軍事機構を取り込むことで、自領の発展を図った。政略結婚でありながら二人の夫婦仲は非常に睦まじかったと伝えられるが、それだけに後の断絶と対立は、歴史の皮肉と悲劇性をいっそう際立たせることとなった。