日本銀行券の肖像は、財務省、日本銀行、国立印刷局の3者が協議を重ね、最終的に日本銀行法第33条に基づき財務大臣の判断で決定されます。数ある歴史上の偉人の中で、なぜ渋沢栄一が一万円札の顔に選ばれたのでしょうか。そこには3つの明確な選定基準が存在します。
第1の理由は、「世界に誇れる傑出した功績」です。渋沢栄一は、封建社会だった日本に近代的な会社制度や金融システムを導入し、日本経済の礎を築いた最大の功労者です。商業道徳を重んじるその思想は国内外で高く評価されています。
第2の理由は、「偽造防止に適した精密な肖像画が描けること」です。紙幣の顔として採用されるには、顔の表情やシワ、骨格がはっきりと分かる高画質な写真や絵画が残っていなければなりません。渋沢は明治から昭和を生きた人物であるため、残された写真資料が極めて豊富でした。
第3の理由は、「国民に広く知られ、親しまれていること」です。政治的な偏りが少なく、文化や産業、社会貢献の分野で誰からも尊敬される人物として、渋沢栄一は満場一致で相応しいと判断されました。