では、なぜ「御用改め」というフレーズはここまで人口に膾炙したのか。その決定打となったのは、昭和から平成、令和へと受け継がれてきた大衆文化の力である。司馬遼太郎の歴史小説を原作とする映画『燃えよ剣』では、リアリズムと様式美が融合した殺陣とともに、緊迫した突入の合図としてこの言葉が象徴的に描かれた。
さらに三谷幸喜脚本による大河ドラマ『新選組!』では、青春群像劇のクライマックスとして劇的に配置され、若い世代の歴史ファンにも決定的なイメージとして定着した。時代劇の長い歴史のなかで、過酷な政治的テロリスト狩りは、法と正義を執行するダークヒーローの看板へと洗練されていったのである。