角田岬の足元には、歴史好きの知的好奇心を刺激するスポットが存在する。「判官舟かくし」と呼ばれる横穴状の海蝕洞だ。兄・源頼朝の追手から逃れるため、奥州を目指して北上していた源義経の一行が、時化(しけ)を避けるために小舟ごと隠れたという伝説が残る。
洞窟へと続く木道を渡る瞬間、足元で跳ね返る白波の音と、岩肌を渡る冷ややかな風が肌を刺す。薄暗い洞窟の奥から外の海を眺めると、800年前の武将たちが抱いた焦燥と希望が、時を超えて胸に迫ってくるかのようだ。潮位や波の状況によって表情を変えるこの場所は、角田浜を訪れたなら絶対に外せない秘境と言える。