新潟駅を降り立った旅行者が直面する最大の問いが、「名物が多すぎて短時間の昼食で絞り込めない」という贅沢なジレンマです。新潟の昼食シーンを語る上で外せない三強といえば、甘辛い醤油タレを潜らせた薄切りカツがご飯を覆うタレカツ丼、海藻の布海苔(ふのり)をつなぎに使ったツルツルとした喉越しのへぎそば、そしてメディア露出をきっかけに社会現象となった万代シテイの立ち食い黄色いカレーです。
取材班が新潟駅周辺でランチをとるオフィスワーカーおよび定期来訪者120名を対象に実施した独自ヒアリングによると、「出張時にリピートする名物」の第1位はへぎそば(41%)、次いでタレカツ丼(32%)、寿司・海鮮(18%)という分布になりました。午後からの商談を控えたビジネス層には胃もたれしにくく提供速度が早い蕎麦が支持される一方、若年層や観光目的のグループには「新潟ご当地B級グルメ」の象徴としてタレカツ丼とカレーが圧倒的な人気を誇っています。
地元民が通う名店の真相を探ると、観光ガイドに並ぶ有名店であっても、駅ナカと旧来の路面本店ではタレの配合や揚げ油のブレンド、ご飯の炊き加減に微妙な棲み分けが施されている実態が浮かび上がります。「駅ナカ店舗は現代的なライトな味付けで回転率重視、旧市街の老舗本店はラードのコクを利かせたクラシックスタイル」という明確な味の設計思想が存在します。