新尾道駅が開業したのは1988年(昭和63年)3月13日のことです。同日には同じ山陽新幹線の東広島駅も開業しており、国鉄民営化直後のJR西日本において大きな節目となるダイヤ改正でした。
当時、尾道市は古くからの港町・商都としての誇りを持っていましたが、山陽新幹線の建設計画当初、尾道市内への駅設置は見送られていました。両隣の福山駅と三原駅には新幹線が停車するにもかかわらず、尾道だけが通過される「尾道飛ばし」に対する危機感は地元で非常に強いものでした。そこで尾道市や地元商工会議所、政財界が一体となり、建設費用を全額地元負担する「請願駅」として新駅設置運動を強力に推進したのです。
この誘致劇の背景には、当時絶大な影響力を持っていた広島県出身の有力政治家たちの影が見え隠れしていたことから、全国的に「典型的な政治駅」として広く報道されることになりました。地元住民の悲願であったことは確かですが、巨額の地元負担金を投じてまで近隣駅の間隙に駅を新設した経緯は、今なお鉄道史における象徴的なエピソードとして語り継がれています。