新宿柿傳の閉店理由と現在|川端康成と谷口吉郎の至高の茶懐石

新宿柿傳の閉店理由と現在|川端康成と谷口吉郎の至高の茶懐石

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新宿柿傳の価値を語る上で欠かせないのが、文豪・川端康成との深い結びつきです。金沢の名料亭「柿傳」の味に深く感銘を受けた川端康成が、「文化の発信地である東京の新宿に、本物の茶懐石の味と心を届けてほしい」と熱心に仲介。開店に際しては店名の揮毫を寄せ、柿傳の精神的支柱となりました。

その志を空間として具現化したのが、日本芸術院会員であり文化勲章受章者でもある建築家・谷口吉郎でした。谷口はビル建築の内部でありながら、京都の由緒ある茶室に勝るとも劣らない本格的な数寄屋空間を現出させました。表千家の「残月亭」を写した見事な床の間や、計算し尽くされた間接照明、都会の景観を遮断しながら四季の移ろいを感じさせる小窓の配置など、細部にまで日本の伝統美が凝縮されていたのです。

床の間には季節に応じた掛け軸や茶花が生けられ、北大路魯山人や現代陶芸の巨匠たちが手掛けた器に、裏千家・表千家をはじめとする各流派の作法に則った懐石料理が美しく盛られる――新宿柿傳は、五感すべてで日本文化を享受できる生きた美術館そのものでした。

伊藤 翔太
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伊藤 翔太

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。