席に着いた客のほぼ100%が真っ先に注文するのが、看板メニューである「刺身盛り合わせ」だ。特に「六点セット」や「玉手箱」と呼ばれる盛り合わせは、もはや海鮮居酒屋の概念を覆す代物として知られている。
メニューに「六点」と書かれていながら、実際に運ばれてくる漆黒の大皿には、八種、時には十種近い厳選された魚介が所狭しと並ぶ。季節の白身魚から、脂の乗った旬の青魚、濃厚な貝類、惜しげもなく盛られたマグロまで。この「嬉しい裏切り」こそが、訪れる者の心を掴んで離さない最大の武器だ。
厚切りに仕立てられた一切れを口に運ぶと、豊かな弾力と魚本来の甘みが広がる。鮮度管理の徹底は言うまでもなく、熟練の職人が魚ごとの状態を見極めて包丁を入れる。見た目の豪快さばかりに目を奪われがちだが、その根底には繊細な手仕事が宿っている。