本作の相関図において軸となるのは、王宮の奥深く「緑曙堂(ノクソダン)」に幽閉同然で暮らす王子・トウォン大君イ・リムと、女性への門戸が開かれていなかった宮廷記録機関「芸文館(イェムングァン)」に挑んだク・ヘリョンの2人です。これを取り巻くように、王権の重圧に苦悩する世子イ・ジン、芸文館の厳格な先輩史官ミン・ウウォン、そして自らの野心と矜持を胸に秘めた同期の女性史官ソン・サヒが複雑に絡み合います。主要キャスト陣が当時明かした撮影秘話と、現在のキャリアを追跡します。
シン・セギョン(ク・ヘリョン役)|信念を貫く女性像と本人が明かした役作り
幼少期から清国で西洋の学問や書物に触れ、因習に囚われない自由な魂を持つヒロイン、ク・ヘリョンを演じたのがシン・セギョンです。制作発表記者会見において彼女は、「これまでの歴史劇で描かれてきた典型的な女性像の枠組みをあえて意識せず、現代を生きる女性が抱く疑問や感情をそのまま現場に持ち込んだ」と述懐しています。重い史冊(歴史記録)を抱えながら宮中を駆け巡るシーンでは、衣装の下に歩きやすいスニーカーを仕込み、走る所作ひとつにも実用性と軽快さを追求したという現場エピソードが残っています。
子役出身の実力派である彼女はその後も『それでも僕らは走り続ける(Run On)』や大作ファンタジー『アラムンの剣』で卓越した表現力を証明。自らのYouTubeチャンネルを通じて飾らない日常を発信するなど、地に足の着いたライフスタイルでも同世代から絶大な支持を集め続けています。
チャウヌ(トウォン大君イ・リム役)|地上波初時代劇での葛藤と飛躍の軌跡
王位継承順位第2位でありながら、世間から隔離されて育ち、身元を伏せて大人気恋愛小説「梅花(メファ)」の作者として生きる孤独な王子、イ・リムを演じたのがASTROのチャウヌです。本作は彼にとって地上波ドラマ初主演作であり、初の本格時代劇という極めてプレッシャーの大きい挑戦でした。当時のインタビュー取材において彼は、「韓服を着こなすための立ち居振る舞いや、古風な発声・呼吸法を習得するため、撮影開始の数カ月前から専門の指導を受け、体重も徹底管理した」と率直なプレッシャーを告白しています。
放送初期には演技のトーンに関する様々な反響もありましたが、回を重ねるごとにヘリョンへの切ない思慕と王室の暗部に立ち向かう覚悟を繊細に演じ分け、同年のMBC演技大賞で優秀演技賞とベストカップル賞の2冠に輝きました。その後のチャウヌは『女神降臨』『ワンダフルデイズ』『ワンダフルワールド』など話題作の主演を立て続けに務め、ASTROのメンバーとしての音楽活動のみならず、アジアを代表するトップ俳優としての確固たる地位を築き上げています。
パク・ギウン&イ・ジフン&パク・ジヒョン|宮廷を支えた名優たちの進化
弟のリムを温かく見守りながらも、暴政を振るう父王の影で理想の政治を模索する世子イ・ジン役を務めたパク・ギウンは、深みのある重厚な台詞回しで物語の政治劇パートを力強く牽引しました。パク・ギウンは俳優業と並行して画家としての才能も開花させ、個展を成功させるなどアーティストとしての領域を広げています。
また、ヘリョンの直属の上司であり、王権に対しても歴史の真実を曲げない孤高の史官ミン・ウウォンを演じたイ・ジフンは、寡黙ながら誠実な眼差しで視聴者の支持を集めました。そして、ヘリョンの同期で良家出身の冷徹な女性史官ソン・サヒを演じたパク・ジヒョンは、本作で見せた凛とした佇まいが業界内で高く評価され、のちに社会現象となったドラマ『財閥家の末息子』で大ブレイクを果たし、現在の韓国エンタメ界に欠かせない主役級女優へと飛躍を遂げています。