日本国内のアジア系ミニマートやエスニックタウンを長年フィールドワークしてきたアジア食文化研究家の小林真樹氏は、ネパール食材店の急速な展開について「単なる物販の場ではなく、文化の受容体として機能している」と指摘する。多国籍な街の片隅にある小さな店こそが、現地そのままの食生態系を今に伝えるタイムマシンなのだという。
小林氏の著書や知見を紐解くと、都内の食材店で売られているアイテムの多様性に驚かされる。脱穀した米を潰して乾燥させた「チウラ(押し米)」や、現地で愛される山椒の親戚「ティムール」、水牛のスクティ(干し肉)など、ディープな食材が当たり前のように棚を埋め尽くしている。これらを手に入れることこそ、自宅のキッチンを一瞬でカトマンズへと変貌させる鍵となる。