新倉山浅間公園の現地に到着した旅行者の前に立ちはだかる最初の試練が、通称「咲くや姫階段」と呼ばれる新倉山浅間公園階段段数「398段」の急勾配です。ビルに換算するとおよそ15階から20階分に相当する標高差を一気に登り詰めるため、日頃運動不足の大人にとっては想像以上に足腰へ負荷がかかります。
階段の脇には車椅子やベビーカー、歩行に自信のない方向けに緩やかな舗装路であるスロープ(坂道迂回路)も整備されています。ただし、スロープはつづら折りになっているため距離自体は約1キロメートルに伸び、所要時間は階段で登る場合の10〜15分に対して20〜25分程度要します。「急激な心拍上昇を避けてのんびり歩きたいならスロープ、短時間で一気に展望地へ到達したいなら階段」という使い分けが賢明です。
交通インフラにおいて最も留意すべきは、新倉山浅間公園駐車場アクセスの制約です。平時は公園直下に約80台収容の無料駐車場が存在しますが、桜まつり期間中は一般車両の進入が全面禁止となり、富士フイルム先進研究所などの臨時駐車場へと誘導されます。そこからシャトルバスや徒歩での移動を余儀なくされるため、駐車だけで1時間を浪費することも珍しくありません。最寄り駅である富士急行線「下吉田駅」からは徒歩約20分(新倉富士浅間神社の参道入口までは約10分)と十分徒歩圏内であるため、大混雑期は公共交通機関の一択がプロの鉄則です。
これほど世界的な名声を博し、膨大な管理コストがかかっているにもかかわらず、なぜ新倉山浅間公園入場料無料の理由が維持されているのか。その背景には、ここが富士吉田市の都市公園条例に基づく公共の憩いの場であり、信仰の場である新倉富士浅間神社の神域と一体不可分である歴史的経緯があります。拝観料を一律徴収する仕組みを導入する代わりに、市は桜まつり協力金(駐車料金への転嫁や現地の任意募金箱)によって警備員配置や環境美化の財源を捻出しています。無償で開放されている公共空間だからこそ、利用者のマナーと地域への還元意識が強く求められています。