多くのファンと関係者に惜しまれながら、小野ヤスシ氏が東京都内の病院で息を引き取ったのは2012年6月28日のことでした。享年72。公表された直接の死因は腎臓がんでした。
病魔との闘いは、逝去から遡ること約8年前に始まっていました。関係者の証言や当時の報道資料によると、小野氏は2004年に人間ドックを受診した際、右の腎臓に悪性腫瘍が発見され、右腎臓の全摘出手術を受けていました。当時、視聴者に心配をかけたくないという強いプロ意識から、公の場では大病を患った事実を一切伏せ、何食わぬ顔でバラエティ番組やステージの司会を務め続けていたのです。
転機が訪れたのは2010年でした。がんの再発と骨への転移が判明し、小野氏は初めて病気療養の事実を世間に公表します。しかし、そこからの姿勢こそが「生涯現役芸人」としての真骨頂でした。抗がん剤治療や放射線治療の激しい副作用に耐えながらも、体調が許す限り収録現場へ足を運び、痩せた身体に仕立て直したジャケットを羽織ってカメラの前に立ち続けました。
2012年5月には盟友・加藤茶氏の結婚披露宴に出席し、元気な姿を見せて周囲を安堵させたものの、翌6月に入ると容態が急変。最期は愛する家族に見守られながら、静かに旅立ちました。病に倒れても愚痴ひとつこぼさず、笑顔を届けることに命を削った姿は、今なお芸能関係者の間で語り草となっています。