小田純平のライブ会場に足を運ぶと、他の歌謡曲コンサートとは明らかに異なる異様な熱気に包まれていることに気づかされます。観客層は60代から70代の往年のファンにとどまらず、40代から50代の現役世代の男性が一人で静かに涙を流している光景が頻繁に見受けられます。
SNSや知恵袋、コミュニティサイトに投稿されたファンのリアルな声を集約すると、彼の歌唱力と人間的魅力に対する鮮烈な評価が浮かび上がってきます。
「仕事で大きな挫折を味わい、家庭でも居場所を失いかけていた50代半ばの時、ラジオから流れてきた『53』を聴いて車中で号泣した。それ以来、小田さんの生歌を聴くためだけに毎年チケットを取っている」(50代・男性会社員)
「一般的な演歌歌手のような綺麗すぎる高音ではなく、喉を絞り出すようなしゃがれ声の中に、底知れない優しさと色気がある。CD音源よりも生のステージのほうが圧倒的に心に響く稀有なアーティスト」(60代・女性ファン)
歌唱指導者やボイストレーナーの視点からも、彼の歌唱法は極めて特異と評されます。声帯の閉鎖と息の流出量を絶妙にコントロールし、ウィスパーボイスから力強いチェストボイスへとシームレスに移行するテクニックは、一朝一夕で身につくものではありません。過酷な大衆演劇の現場とライブハウスの現場で数万回にわたり歌い込んできた者だけが到達できる、まさに「現場仕込みの職人芸」です。