ここでは、海がきこえる 小説あらすじ詳細と、読者が最も気にする海がきこえる 小説結末ネタバレを整理します。
高知市の進学校に通う杜崎拓は、東京から転校してきた武藤里伽子と出会います。里伽子は容姿端麗で成績優秀、スポーツ万能でありながら、周囲の高知の生徒たちを見下すような態度を取り、クラスで孤立していました。親友の松野豊が里伽子に好意を寄せる中、拓はハワイへの修学旅行先で、里伽子から「お金を落としたから貸してほしい」と頼まれます。これが波乱の幕開けでした。
高校3年のゴールデンウィーク、里伽子は親友の小浜祐実をダシにして拓を呼び出し、貸した金を返す口実で空港へ連れ出します。目的地は高知ではなく東京。離婚した父親に会いに行く里伽子に半ば強引に付き添わされた拓は、東京の高級ホテルで一室を共にすることになります。しかし、父親にはすでに新しい恋人がおり、かつての想い人だった元彼・岡田も東京の空気に染まって軽薄に変貌していました。自尊心を粉々に砕かれた里伽子は酒を飲んで泥酔し、拓はベッドを譲ってバスタブで一夜を明かす羽目になります。
高知に戻った後も二人の溝は埋まりません。文化祭の準備期間中、クラスの女子たちと衝突した里伽子を巡り、拓は彼女から平手打ちを食らい、拓も殴り返します。さらに、里伽子を庇おうとした松野からも殴られるという痛烈な青春の蹉跌を経験し、わだかまりを抱えたまま高校生活を終えることになります。
そして迎える小説第1巻の結末。東京の大学に進学した拓は、夏休みに高知へ帰郷し、城東高校の同窓会に出席します。そこには里伽子の姿はありませんでした。しかし、友人たちとの会話の中で、里伽子が東京の女子大へ進学したこと、そして小浜祐実に対して「東京の大学を選んだのは、高知にいるときにお風呂で寝てくれた男の人がいるから」と語っていた事実を知らされます。
アニメ映画では、東京に戻った拓がJR吉祥寺駅のホーム越しに里伽子を見つけ、駆け寄って再会を果たすという劇的なカタルシスを用意しました。しかし、原作小説の結末には駅ホームでの再会シーンは一切存在しません。同窓会の帰り道、高知城を望みながら松野と語り合い、東京のアパートに戻った拓が、夜風に吹かれながら「おれは最初から、里伽子のことが好きだったんだ」と静かに自分の本心を受け入れるところで物語は幕を下ろします。劇的なドラマではなく、心の中に生まれた痛切な気付きこそが、原作が提示した文学的な着地点でした。