小柳ルミ子の映画女優としての評価は、決して『白蛇抄』の一作だけで突発的に生まれたものではありません。その前年に公開された1982年の映画『誘拐報道』における鬼気迫る助演こそが、女優・小柳ルミ子の真のブレイクスルーでした。
モントリオール世界映画祭で審査員賞を受賞した『誘拐報道』(伊藤俊也監督、萩原健一主演)において、小柳ルミ子は萩原演じる犯人の愛人役(香織)を演じました。生活に疲れ、男の犯罪に巻き込まれながらも情を捨てきれない哀しい女の心理を陰影深く表現し、第6回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。この快挙によって映画界における信頼を確固たるものにしました。
そして翌1983年の『白蛇抄』で主演を務め、第7回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞します。2年連続で日本最高峰の映画賞を異なる部門で制覇したこの記録は、当時の映画界に激震を走らせました。さらに同作ではブルーリボン賞主演女優賞や毎日映画コンクール女優演技賞も席巻し、名実ともに日本を代表するトップ女優の座へ登りつめたのです。