小林カツ代の原点は、大阪・船場の老舗菓子商に生まれた幼少期にあります。商家の活気ある台所と、旬の食材の持ち味を最大限に引き出す関西の味覚に親しんで育った彼女は、結婚後に専業主婦となったことを機に、日々の食事作りに情熱を注ぎ始めました。
転機となったのは、ワイドショーの「お料理投稿コーナー」への応募でした。手際よく手に入りやすい食材で、誰が作っても圧倒的においしく仕上がるレシピがテレビ局関係者の目に留まり、瞬く間にプロの料理研究家への道を歩み始めます。NHKの『きょうの料理』や民放各局の人気番組に出演し、人気テレビ番組『料理の鉄人』では中華の巨匠・陳建一を相手に見事な勝利を収めるなど、その名は全国区へ轟きました。
「働くお母さんを手助けしたい」「料理は手軽で楽しく、おいしくなければ意味がない」。小林カツ代が提唱した合理的な下ごしらえや大胆な調理法は、それまでの堅苦しかった料理界の常識を次々と打ち破っていきました。
長男であるケンタロウと長女を育て上げるシングルマザーとしての側面も持ち合わせ、仕事と育児に奔走しながらも、家庭の温かい食卓を守り抜く姿勢は多くの女性たちから熱烈な支持を集めたのです。