山田隆夫が座布団運びに就任したのは1984年。彼を抜擢したのは、当時の司会者であった5代目三遊亭圓楽だった。前任者の降板に伴い、番組に新しい風を吹き込む起爆剤として、圓楽自らが彼に白羽の矢を立てた経緯がある。「座布団運びは単なるアシスタントではない、舞台を回す重要な演者だ」という圓楽の教えを、彼は愚直なまでに守り続けてきた。
続く桂歌丸の時代には、司会者と座布団運びのバトルという新たな黄金パターンが確立された。歌丸の鋭いツッコミに対して山田が不満げな顔をし、時に暴走して座布団を全部持って行ってしまう掛け合いは、番組のボルテージを最高潮に引き上げるキラーコンテンツとなった。歌丸の厳しくも温かい眼差しが、彼の芸人魂をさらに研ぎ澄ませたのは間違いない。
そして現在の司会者である春風亭昇太との関係性も絶妙だ。昇太が醸し出す軽やかで現代的なテンポに合わせ、山田もまたリアクションのキレを調整している。司会者が変わるたびに己の立ち振る舞いを再構築し、阿吽の呼吸を作り上げていく適応力こそ、彼が40年以上も愛され続ける最大の理由である。