石井妙子氏によるノンフィクション『女帝 小池百合子』が出版された際、世間はその生々しい人間ドラマに息を呑んだ。学歴詐称疑惑や人間関係の変遷とともに描かれたのは、孤独を恐れず、むしろ孤独を武器にして這い上がっていく特異な政治的リアリズムだった。
優れた人物ドキュメンタリー・政治ジャーナリズムの手法が浮き彫りにしたのは、彼女の冷徹なまでの自己演出力だ。弱さや家庭的な温かさを前面に出すことを極端に嫌い、常に「強い指導者」の仮面を被り続ける姿勢は、ある種の悲壮感すら漂わせる。
メディアに切り取られる彼女の言動には、常に計算し尽くされた戦略がある。しかし、その内面にある本当の感情や過去の傷痕は、どれほど鋭いジャーナリズムのメスを以てしても完全には解明されていない。虚飾と真実の境界線を歩み続ける姿こそ、小池百合子という政治家の本質なのかもしれない。