近年、この古刹の持つ多面的な魅力は映像メディアを通じて再発見されている。NHKの教養番組『新日本風土記 湘南』では、きらびやかな海岸線の裏側に広がる、祈りと暮らしが織りなすディープな湘南の姿が描かれ、その象徴として遊行寺の朝の勤行や地域との結びつきが印象的に切り取られた。放送後にはNHKオンデマンドでも多くの視聴者を集め、観光ガイドブックには載らない本質的な土地の記憶に触れたい層の関心を集めた。
映像によるカルチャーの掘り起こしは地上波にとどまらない。Netflixをはじめとするグローバルな配信プラットフォーム上で歴史ドキュメンタリーが人気を博すなか、中世日本の民衆思想や巡礼の軌跡を扱ったコンテンツへの需要は国際的にも高まっている。持たざる者が創り出した踊りの連帯、そして東海道の要衝としての宿場町カルチャー。世界標準の視点で切り取られることで、寺はエキゾチックな観光地ではなく、普遍的な人間の精神史を物語る舞台として、国内外の新しい世代の知的好奇心を刺激している。