2000年、待ち望んでいた新しい命をその身に宿した向井亜紀を襲ったのは、進行した子宮頸がんの告知だった。妊娠という人生最大の慶事の最中、医師から告げられた過酷な二者択一。お腹の子の命を諦め、母体である自らの命を救うために子宮を全摘出するしかなかった。
決断を下すまでの葛藤は、筆舌に尽くしがたい。子どもを抱きしめる未来を夢見ていた彼女にとって、子宮を失うことは女性としてのアイデンティティをも揺るがす出来事だった。それでも、生きることを選んだ。夫の支えを受け止め、涙を呑んで手術室へと向かったあの日が、彼女のその後の人生を決定づける原点となった。