先端恐怖症の発症には、脳の原始的な防衛反応と個人の過去体験が複雑に絡み合っている。主な原因は大きく3つの要素に整理される。
第1に、幼少期のトラウマや負傷体験だ。幼い頃にハサミや鉛筆で怪我をした、目の近くに尖ったものが迫って激しい恐怖を感じたといった記憶が、脳の情動を司る「扁桃体(へんとうたい)」に強烈な危険信号として刷り込まれているケースが目立つ。
第2に、「目(眼球)」を守ろうとする防衛本能の過剰作動である。人間にとって視覚器である眼球は極めて脆弱かつ重要な器官だ。そのため、ペン先や他人の指先が視界に入った際、脳が「失明の危険」を過大に評価し、交感神経を一気に興奮させて身体を硬直させる。
第3に、強いストレスや全般的な不安傾向が挙げられる。もともと神経が過敏な状態にある時期や、仕事や人間関係で過度なプレッシャーがかかっている時期に、些細な視覚刺激に対する警戒レベルが跳ね上がり、後天的に発症するケースも少なくない。