物語の起点となるのは、1970年のアメリカ。主人公のダニエル・ブーン・デイヴィス(通称ダン)は、家庭用自動掃除ロボット「文化女中器(ハイヤード・ガール)」を開発した気鋭の天才エンジニアです。親友で共同経営者のマイルズ・ジェントリィ、そして婚約者である美貌の秘書ベル・ダーキンと共にベンチャー企業を軌道に乗せ、輝かしい未来を手に入れたはずでした。
しかし、ダンの成功を快く思わないマイルズとベルは共謀し、会社の株式と特許を強奪。さらにダンを薬物で眠らせ、半強制的に30年間のコールドスリープ(冷凍睡眠)へと送り込んでしまいます。唯一の家族であった相棒の雄猫ピートとも引き離され、ダンが目を覚ましたのは技術が激変した西暦2000年の世界でした。
身ぐるみを剥がされ、見知らぬ未来に取り残されたダン。しかし、彼は絶望の底から驚異的な反撃を開始します。鍵を握るのは、かつて彼を慕ってくれたマイルズの義理の娘リッキイ(フレデリカ)の存在と、未来で偶然出会った異端の科学者が研究する「時間移動(タイムトラベル)技術」でした。
登場人物の敵味方が明快でありながら、時間のねじれを利用した人間関係の交錯が、読者を一気に物語の渦へと引き込みます。