柳湯の真の心臓部は、番台の奥、地下へと続くボイラー室にある。毎朝未明から薪の選別を行い、地下水を汲み上げ、湯の華の浮き具合や外気温に合わせてミリ単位で湯加減を調整する「湯守(ゆもり)」の技術。それはマニュアル化の不可能な、五感を研ぎ澄ませた職人芸だ。
観光・レジャー産業が体験型コンテンツへのシフトを強めるなか、単なる消費型観光とは一線を画す「本物の日本伝統文化」を肌で味わえる場として、この湯守の営みそのものが脚光を浴びている。湯守のガイド付きバックヤードツアーや、薪割り体験を取り入れたワークショップは、若い世代や外国人観光客に「湯を沸かすことの神聖さ」を伝えている。本物の手仕事に触れる感動こそが、リピーターを生む最大の原動力となっている。