幕末維新を巡る言説は、いま新たなフェーズを迎えている。映像・出版エンターテインメント産業では、従来の英雄史観を相対化し、経済史や地政学の視点を交えた骨太な時代劇・歴史ドキュメンタリーが次々と企画されている。単に志士たちの気概を称えるのではなく、武器商人たちの思惑や幕府側の構造改革案など、複眼的な視点で幕末を捉え直す潮流が定着した。
出版界でも、新発見の古文書や海外公文書館に眠る外交記録をベースにしたノンフィクションが相次いでヒットを記録している。西郷と龍馬の足跡は、現代のビジネスリーダーや起業家たちにとって、利害の対立するステークホルダーをいかにまとめ上げ、不確実な時代にブレイクスルーを起こすかという極めて実践的なケーススタディとして再解釈されているのだ。