「慶伊」という名を世界的な学術界に知らしめた人物として、物理化学者である慶伊道彦(けいい・みちひこ)名誉教授の存在を外すことはできない。
2.1 触媒化学・高分子化学分野における金字塔
慶伊道彦博士は、20世紀後半の日本における触媒化学および高分子合成化学の第一人者として活躍した。特に、ポリオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレンなど)の合成に用いられるチーグラー・ナッタ触媒の反応機構解析において、世界的に高い評価を獲得した。複雑な表面反応を定量的・理論的に捉える手法を確立し、基礎化学から工業的応用へとつなぐ橋渡しを行った。
2.2 北海道大学での研究と次世代への継承
北海道大学での教授職を通じて、数多くの研究者を育成した。研究室から排出された論文や技術論文は、現在の素材産業や化学工業の技術基盤に深く組み込まれている。彼の著書である物理化学や触媒反応論のテキストは、半世紀近くにわたり若き研究者たちのテキストとして読み継がれてきた。学問に対する厳格な姿勢と、理論の美しさを追及する姿勢は、研究者コミュニティの中で今なお語り草となっている。