病魔は突如として襲いかかった。右半身の自由を奪われ、言葉すら思うように紡げなくなったあの日、医師から突きつけられた現実はあまりに過酷だった。だが、男は絶望に屈しなかった。病室のベッドの上でイメージし続けたのは、緑の芝生とボールの感触、そして何よりも愛する仲間たちの叫び声だったという。
「倒れたときは、もう二度とサッカーに関われないかもしれないと思った。でもな、俺からフットボールを取ったら何も残らない。死ぬ気で手足を動かしたよ」。理学療法士が舌を巻くほどの執念でリハビリをこなし、驚異的な回復力で日常を取り戻した。現在、育成現場や講演活動で見せるその足取りは力強く、選手たちに身振り手振りで情熱を注ぎ込む姿は、現役時代の闘志そのものだ。限界を自ら設定しない生き様が、多くの人々に無言の勇気を与え続けている。