住環境における害虫問題に詳しい衛生害虫学の分野では、古くからムカデの毒性と被害の実態が研究されてきた。戦後の衛生環境整備や害虫防除の礎を築いた安富和男(衛生害虫学者)の著作や研究論文でも、住宅周りの湿地環境管理と咬傷被害の関係性が強く指摘されている。
ムカデに刺される(噛まれる)リスクは、主に夜間の就寝中に発生する。布団の中に潜り込んだムカデに無意識に触れてしまい、激痛とともに目覚めるケースが多い。激しい局所症状を引き起こすヒスタミンやセロトニン、酵素類が含まれる複合毒は、蜂毒とも共通するアレルゲン性を持つため注意が必要だ。
ヤスデの場合は噛みつき被害こそないものの、大量発生時の精神的ストレスや臭液による皮膚炎のリスクを軽視できない。刺されるリスクを回避するには、双方の行動様式に応じた適切な物理的遮断と化学的防除を組み合わせるべきである。