コロシアイ学園生活が幕を開けた直後、学園長モノクマから提示された最初の動機は「外部の人間関係が危機に瀕している様子を映した個別動機ビデオ」でした。この映像を見た舞園さやかは、自身が人生のすべてを捧げてきたアイドルグループのメンバーが無残に倒れている光景を目撃し、激しいパニックと絶望に陥ります。
幼少期から母を亡くし、仕事で不在がちな父のもとで孤独に育った彼女にとって、テレビの向こうのアイドルは唯一の希望であり、自らのグループはアイデンティティそのものでした。「ここから出て外の状況を確かめなければならない」という強迫観念が、彼女を最初の凶行へと駆り立てる決定打となったのです。
舞園が企てた殺害計画は、極めて巧妙かつ冷酷なものでした。
まず苗木に対し「夜になると誰かに狙われているような気がして怖い」と訴え、部屋の交換を提案します。苗木の部屋のバスルームのドアノブが立て付け悪く開けにくい構造になっていることを把握した上で、個室のネームプレートを付け替え、あたかも苗木の部屋であるかのように偽装しました。そして、身体能力が高く学園生活に焦りを見せていた「超高校級の野球選手」桑田怜恩に「話がある」とメモを渡し、苗木の部屋へとおびき寄せたのです。
この計画の真の恐ろしさは、「桑田を殺害した後は現場を苗木の部屋に見せかけ、殺人犯の濡れ衣を苗木誠にすべて着せる」という二重の裏切り構造にありました。自分を絶対的に信頼していた苗木の善意を逆手に取った残酷な策略は、極限下で視野狭窄に陥った人間の生々しいエゴイズムを物語っています。