この場所を立ち上げ、一貫してカツオへの熱烈な情熱を注ぎ続けているのが、店主の西村めぐみ氏だ。彼女の鰹節に対する探求心は、単なる職人の域を超えている。全国各地の生産現場や産地へと自ら足を運び、生産者が手塩にかけて作り上げた本枯節の個性を丹念に見極めているのだ。
カツオという食材が持つ歴史や、一本の節に仕上がるまでに数ヶ月以上を要する職人たちの手仕事。そうした背景に対する深い敬意が、彼女のすべての所作から伝わってくる。一本一本の節の状態や気候、湿度に合わせて削り刃の調整を細かく行い、その日最高の状態で客へと提供する姿は、型にはまった飲食業界のトレンドとは一線を画す。彼女の愚直なまでのこだわりこそが、訪れる者の心を捉えて離さない最大の理由なのだ。