虫に刺された箇所が何日も腫れ続け、赤みが引かない背景には、人体の免疫システムが引き起こすアレルギー反応の型が深く関わっています。虫刺され反応には、刺された直後から激しいかゆみと膨疹(みみず腫れ)が現れて数時間で引く「即時型反応」と、刺されてから1〜2日後に強い赤み、腫れ、硬結(しこり)が出現する「遅延型反応」の2種類が存在します。
幼少期から青年期、成人へと年齢を重ねるにつれて、体内の抗体バランスが変化し、遅延型反応が優位になる傾向があります。そのため、「子どもの頃は蚊に刺されてもすぐ治ったのに、大人になってから異様に腫れ上がるようになった」と感じるのは、生体反応として極めて自然なプロセスです。しかし、数日経過しても一向に腫れが引かない場合、以下の3つの深刻な要因を疑う必要があります。
第一に、蚊以外の「吸血性・有毒害虫」による刺咬です。特にブヨ(ブユ)やツツガムシ、マダニなどは、皮膚を噛み切って吸血するため組織損傷が深く、唾液腺に含まれる毒素や酵素に対する生体反応が極めて激しく現れます。第二に、強いかゆみに耐えかねて掻き壊してしまい、皮膚バリアが破綻して局所炎症が慢性化しているケースです。そして第三に、傷口から黄色ブドウ球菌などの細菌が皮下深部へ侵入し、細菌性感染症を併発しているケースです。単なるアレルギー性炎症と細菌感染を見誤ると、患部が壊死性変化をたどるリスクすら生じます。