現代の陶芸界では「じっくりと時間をかけて高温度で焼く」ことが頑丈な器を作る常識とされることが多い。しかし梶原の研究は、この通説に異を唱えた。桃山時代の古唐津は、意外にも低温で、かつ短い時間で焼き上げられていたのだ。
問題は「いかに低温短時間の焼成で水漏れしない器(高い水密性)を作るか」である。梶原は砂岩に含まれる長石分や微細な成分の融解挙動を解析。特定の条件を満たせば、低温でも素地と釉薬が絶妙に融合し、水漏れを起こさない構造が完成することを発見した。この技術の復元により、焼き締めすぎない素朴な温もりと、器としての優れた実用性を高次元で両立させている。