映画ファンにとって記憶に焼き付いて離れないのが、石井岳龍(当時は石井聰亙)監督による伝説的名作『水の中の八月』だろう。福岡の猛暑と宇宙的な幻影が交錯する世界観の中で、彼女が見せた瑞々しくもどこか異次元的な佇まいは、観客の心に鮮烈なトラウマにも似た深い感銘を残した。
さらに、日本映画史を代表する巨匠・吉田喜重監督の『鏡の女たち』で見せた圧倒的な静謐さも見逃せない。歴史の記憶と個人のアイデンティティが複雑に絡み合う重厚な物語の中で、大女優たちと真っ向から対峙し、静かながらも揺るぎない存在感を示してみせた。
日本映画界の最前線で名匠たちと渡り合ってきたこれらの経験は、彼女自身の表現世界をさらに豊かに拡張していく。スクリーンに刻まれた一回性の煌めきは、時を超えて今なお多くのクリエイターに刺激を与え続けている。