報道で「失踪」「孤立」といった言葉が独り歩きしたことで、晩年の尾崎が不遇な孤独の中にあったかのように錯覚する人も少なくありません。しかし、現場の証言や実態取材によって明らかになったのは、温かい家族との強い絆でした。
尾崎には離婚歴がありましたが、元妻や息子(長男)との関係は決して断絶していませんでした。病に倒れて以降、元妻と息子は献身的に病院へ通い、身の回りの世話や医師との面談を重ねていました。また、実弟をはじめとする親族も尾崎の療養環境を守るために結束していました。
息を引き取った2012年5月30日の未明、ベッドサイドには元妻や息子ら最愛の家族が寄り添っていました。家族の手を握りしめ、穏やかな表情で旅立ったその瞬間は、スキャンダラスな報道とは対極にある、静謐で尊厳に満ちた看取りの時間だったのです。葬儀・告別式も本人の生前の強い希望を受け、世間の喧騒を避けて近親者のみの密葬として厳かに執り行われました。