戦場体験の風化が叫ばれる中、映像表現の可能性は新たな局面を迎えている。大岡昇平の文学を映画化した塚本晋也監督の『野火』は、人肉食にまで至る極限状態と人間の尊厳を極限まで削ぎ落とした映像美で国内外に衝撃を与えた。
現在、世界の映画産業はこの表現のバトンを受け取り、グローバルな視聴者層に向けて進化を遂げている。NetflixやHBOといった動画配信大手が潤沢な資金を投じ、太平洋戦争を多角的な視点から描く大型歴史ドラマや本格的なドキュメンタリー作品を相次いで共同制作。高度なCG技術と新発掘の手記を組み合わせることで、従来の邦画の枠組みを超えたスケールで戦場の息遣いを描き出している。ローカルな記憶がデジタルネットワークを通じて世界規模で共有される時代が到来したのだ。