史上最速記録として球史に刻まれているのが、1946年大阪タイガース対パシフィック戦である。西宮球場で行われたこの一戦は、試合開始の合図からわずか55分でゲームセットとなった。
なぜこれほどまでに短時間で試合が終わったのか。最大の要因は、両チームの投手がストライクゾーンへ果敢に球を投げ込み、打者もまた早いカウントから打ちに行ったことにある。四球や無駄なサイン交換はほぼ皆無。ファウルボールも少なく、攻守交代も走って行われたため、試合の流れが途切れる瞬間が一度もなかった。
戦後の物資不足のなか、日没までに試合を終わらせなければならないという時代的背景もあった。しかしそれを差し引いても、この一戦が見せた引き締まった展開は、野球というスポーツが持つ本来の軽快さを象徴している。