わらびを手に入れた際、まず認識しなければならないのが生わらび保存期間の極端な短さです。生のわらびは収穫された瞬間から呼吸作用と自己防衛反応によってリグニン(不溶性の食物繊維)の合成を急激に進めます。常温で放置するとわずか24時間〜48時間程度で根元から木質化が進み、どんなに煮込んでも噛み切れない硬い筋だけが残ってしまいます。
そのため、生のまま保存することは基本的に避け、速やかに重曹を使った下処理を行わなければなりません。わらびには発がん性物質としても知られる天然毒素「プタキロシド」や強烈なエグ味成分が含まれていますが、これらはアルカリ条件下で熱を加えることで加水分解され、無害化および除去されます。
料理研究家や山菜加工の専門家が推奨するアク抜きの黄金比率は、「水1リットルに対して重曹小さじ1(約3〜5g、濃度0.3〜0.5%)」です。沸騰させた重曹水にわらびを浸し、火を止めてから自然冷却させながら一晩(約8〜10時間)置くことで、組織を壊しすぎずに不純物を水中に溶出させることができます。アク抜きが完了して初めて、各種の保存工程へと移行することが可能になります。