王道家の歴史を語る上で避けて通れないのが、総本山・吉村家からの「破門(直系離脱)」騒動です。長年直系四天王の一角として君臨していた王道家が、なぜ吉村家の看板を下ろすことになったのか、その最大の引き金は「麺へのこだわり」にありました。
吉村家直系店は、創業以来パートナー関係にある「酒井製麺」の特注麺を使用することが絶対の掟とされていました。しかし清水社長は、日々進化させる濃厚なスープに対して「より小麦の風味と弾力を持たせた理想の麺を追求したい」と考え、自社工場での自家製麺開発に踏み切ります。伝統と統制を重んじる吉村実氏にとって、麺の独自変更は直系の根幹を揺るがす行為であり、両者の職人としてのプライドが激しく衝突した結果、2011年に直系を離れる決断が下されました。
当時、ネット上では「絶縁」「裏切り」といった過激な噂が飛び交いました。しかし現在、清水社長はYouTubeやインタビューにおいて「親父(吉村実氏)がいなければ今の自分はない」と深い感謝と敬意を公言しています。安易な妥協を許さない頑固職人同士だからこそ生じた分裂であり、単なる私利私欲の決別ではなかったことが窺えます。