1950年代、映画という新時代のメディアが日本中を席巻していた。1954年、錦之助は松竹の映画出演を機に本格的に映像の世界へ進出し、同年に東映へ移籍。ここから日本映画史に残る伝説の快進撃が幕を開ける。
端正な顔立ちと、歌舞伎仕込みの切れ味鋭い立ち回り。東映時代劇のプリンスとして瞬く間に大衆を虜にした彼は、内田吐夢監督と組んだ全5部作の映画『宮本武蔵』において、求道者としての苦悩と狂気を圧倒的なリアリズムで体現してみせた。美空ひばりらとともに東映のドル箱スターとして君臨し、日本映画界の黄金期を文字通り牽引したのである。