巷で頻繁に語られる「宿便」という言葉だが、西洋医学的な解剖学においては「こびりついた未消化物」が何年も腸壁に残り続けるという現象は否定されている。腸の粘膜細胞は極めて短い周期で新陳代謝を繰り返しており、剥がれ落ちて便とともに排出されるからだ。日本消化器病学会などの専門機関が提示する見解でも、いわゆる宿便とは、直腸やS状結腸周辺に長期間滞留して水分が抜けた頑固な「滞留便」を指す。
便が長期間にわたって腸内に留まると、腸内フローラ(腸内細菌叢)の悪玉菌がそれをエサにして繁殖を開始する。悪玉菌が産生するアンモニアや硫化水素などの有害物質は腸壁から血管へと吸収され、全身を巡ることになる。これが肌荒れ、身体の重だるさ、冷え、そして頑固なぽっこりお腹の原因へと繋がっていく。腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスが崩れることで自律神経も乱れ、さらに腸の蠕動運動が低下するという悪循環が形成されるのだ。