単語としての「ミュート」は、アプリの機能名にとどまらず、ポップカルチャーの世界でも象徴的なキーワードとして描かれてきた。その代表例が、映画監督ダンカン・ジョーンズが手掛けたNetflixオリジナルのSFミステリー、映画『MUTE/ミュート』だ。
近未来のベルリンを舞台にしたこの作品は、幼少期の事故で声を失った(=ミュート状態の)主人公が、突如失踪した恋人を追ってアンダーグラウンドな街を彷徨う重厚なサスペンス劇である。サイバーパンクな映像美とともに、「声を発することができない静寂」が物語の大きな謎と切なさを際立たせる。アプリのボタン一つで相手を消音する日常と、言葉を失った男の愛の追跡劇——表現のコントラストとして楽しむのも興深い。