和食の現場では、一般に一括りで「ツマ」と呼ばれがちな添え物を、その形状や役割に応じて厳密に呼び分けています。板前の世界で飛び交う「つま」「けん」「あしらい」という言葉には、明確な職人の美意識が存在します。
まず、「あしらい」とは刺身に添えられる野菜、海藻、薬味などの装飾および機能的な添え物全体の「総称」を指します。料理全体の景色を整え、魚の持ち味を演出する演出部隊全般のことです。
そのあしらいの中で、野菜を極細の針状に細長く切ったものを「けん(剣)」と呼びます。大根や人参を鋭く繊細に突いた形状が「刀剣」を連想させることから名付けられました。つまり、大根の千切りは「あしらい」の中の「けん」であり、盛り付けの位置付けとして「つま」の役目を果たしていることになります。また、盛り付け方によっても職人は言葉を使い分けます。刺身の下に敷く場合は「敷きづま」、魚の後方に立てかける場合は「立てづま(掛けづま)」と呼び、立体的で美しい空間構成を作り出しています。