長月達平氏を語るうえで外せないのが、商業デビューを果たすまでのバックボーンです。北海道出身の長月氏は、もともとスーパーマーケットの精肉売り場で働く肉屋の店員でした。肉を捌く激務をこなしながら、深夜や早朝の限られたプライベート時間を削り、小説投稿サイト「小説家になろう」でペンネーム「鼠色猫」として執筆活動をスタートさせたのが全ての始まりです。
2012年4月から連載が始まった『Re:ゼロから始める異世界生活』は、主人公ナツキ・スバルが過酷な運命に抗う「死に戻り」のループ構造と濃密な心理描写が熱狂的な支持を集め、瞬く間にランキング上位へ浮上。その圧倒的な熱量に目を留めたMF文庫J(KADOKAWA)の編集者から声がかかり、2014年に待望の商業出版を果たしました。
書籍化が決まり、さらにアニメ化というメガヒットへの階段を駆け上がる段階になっても、しばらくは精肉店での仕事を続けていたというエピソードはファンの間で広く知られています。地に足のついた社会人経験と、現場で培われたストイックな生活リズムが、プロ作家としての強固な土台を築き上げました。