防潮扉から切り離されたアルミ製パネルは、2019年4月から5月にかけて東京都庁第一本庁舎の展望室付近で一般公開され、連日長蛇の列を作る社会現象となりました。その後、湾岸エリアの賑わい創出拠点として整備された日の出ふ頭の小型船ターミナル施設「Hi-NODE(ハイノード)」において一時的な展示が行われるなど、展示場所の変遷が続いてきました。
2026年現在の取り扱いについて、東京都港湾局関係者への取材によると、パネル本体は「都有財産(公共物)としての保全措置」が取られており、紫外線による退色や金属劣化を防ぐため、空調完備の保管スペースにて厳重に管理されています。常設展示として雨ざらしにされることはなく、湾岸エリアの文化発信イベントや都が主催するパブリックアート関連の特別企画に合わせて、期間限定でガラスケース越しに公開される運用が定着しています。
防潮扉という「街を守るインフラ」から剥ぎ取られ、無菌室のような公共展示ケースに収まるネズミの姿は、都市における落書き対策とパブリックアートの境界線をめぐる生きた教材として、今なお静かな存在感を放っています。