日本中が興奮の渦に包まれたサスペンスドラマ『VIVANT』。その前半戦における最大のクライマックスは、世界を股にかける天才ハッカー「ブルーウォーカー」の正体が、大手商社「丸菱商事」に勤める地味な女性社員・太田梨歩だと判明した瞬間だ。
彼女はなぜ、自らが所属する丸菱商事から巨額の資金を流出させるハッキングに手を染めたのか。その動機の裏には、単なる金銭的欲望ではなく、複雑に絡み合った人間関係と脅迫、そして歪んだ愛情が存在していた。バルカ共和国へと誤送金された1億ドルという天文学的数字のバックドアを作成したのは、紛れもなく彼女の頭脳である。警察の捜査網を嘲笑うかのように暗号を操る冷徹な姿と、社内での気弱な立ち振る舞いとのギャップは、視聴者に強烈なトラウマとカタルシスを同時に与えた。