二階堂ふみが世に出てきた2010年代前半、映画ファンの誰もが息をのんだ。黒髪の凛とした佇まい、澄んだ大きな瞳、そしてどこか浮世離れした透明感。その姿は、NHK大河ドラマ『篤姫』などで国民的女優としての地位を固めていた宮崎あおいとあまりにも酷似していたからだ。
「まるでドッペルゲンガーだ」「姉妹以上の類似性」とネットニュースや週刊誌はこぞって取り上げた。オーディション会場や映画祭の現場でも、二人の名前は常にセットで語られ、ある種の「運命的な対比」として消費された時期があったことは否定できない。
だが、その世間の好奇な視線こそが、結果として二人の内に秘められた役者魂に火をつけることとなった。