換毛期の抜け毛を「いつものこと」と軽視して放置すると、猫自身のセルフグルーミングによって大量の死毛が消化管内へ送り込まれます。胃の中で絡み合った毛が巨大な塊を形成する「毛球症(もうきゅうしょう)」を発症すると、以下のような深刻な症状が現れます。
- 初期シグナル:頻繁にゲーゲーと吐く素振りを見せるが何も出ない(空嘔吐)、食欲のムラ、便が硬く小さくなり毛が混じる。
- 重篤化シグナル:完全な食欲不振、激しい嘔吐、腹部の張り・激痛、排便の完全停止。毛球が十二指腸や小腸に詰まり「腸閉塞」を起こした場合は、緊急開腹手術を余儀なくされ、処置が遅れれば命を落とす危険性があります。
また、抜け毛の中には換毛期とは無関係な「疾患による異常脱毛」が隠れているケースも珍しくありません。換毛と疾患を見極めるための観察ポイントは以下の通りです。
- 左右対称の脱毛(地肌の露出):腹部や内股、背中などが左右対称に薄くなっている場合、過剰グルーミングによる「心因性脱毛症(強いストレス)」やホルモン異常(甲状腺機能亢進症・副腎皮質機能亢進症)が強く疑われます。
- 赤み・発疹・かさぶた・強いかゆみ:ノミ・マダニ寄生、ツメダニ症、あるいは「皮膚糸状菌症(カビ)」による感染症の典型例です。カビは人間にも感染する人獣共通感染症であるため、早期隔離と投薬が必要です。
- 局所的な円形ハゲ・フケの多量発生:アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、日光過敏症などの免疫・アレルギー反応が関与している可能性が高くなります。