物語の根底に流れるのは、先の読めないスリリングなサスペンスドラマの骨格と、人間の孤独や救済を描く緻密なヒューマンドラマの深みだ。事件の真相を追う過程で剥き出しになる登場人物たちのエゴと優しさが、見る者の心を強く揺さぶる。ジャンルの枠組みを自在に超えていく物語構造は、これまでの邦画の常識を覆すスケール感を有している。
緻密に仕組まれた伏線と、演者の生々しい呼吸が同居する映像世界。サスペンスドラマとしての緊張感を持続させながらも、観客の感情に深く訴えかけるヒューマンドラマの叙情性を失わない演出は、長年映画界の最前線で戦ってきたスタッフたちの集大成と言える。