本作における凄惨な描写が際立つ最大の要因は、萌え系美少女アニメの装いから一瞬にして狂気へと急転直下するプロット構成のギャップにあります。部活メンバーとの他愛のないゲーム対決や温かい交流を見せつけられた直後に、登場人物たちが凄惨な殺し合いへと突入するため、読者・視聴者の受ける精神的落差は計り知れません。
惨劇を引き起こす根底には、架空の風土病である雛見沢症候群の発症経緯が密接に絡んでいます。極度の疑心暗鬼やストレスを契機に病原体が活性化し、末期症状である「レベル5」へ到達すると、極度の幻覚・幻聴に加え「喉に湧いたウジ虫を自ら掻き毟る」という異常行動に駆り立てられます。
出題編の幕開けとなる「鬼隠し編」において、主人公・前原圭一が凶行に至った理由もまさにこの症候群の錯乱によるものです。仲間からの好意や配慮を「自分を殺害するための陰謀」と誤認し、護身用の金属バットで竜宮レナや園崎魅音を撲殺するという惨劇を生み出しました。単なる悪意ではなく、「疑心暗鬼に囚われた善人が引き起こす暴走」という心理的リアリティこそが、ひぐらしの残酷さを唯一無二のものにしています。