『VIVANT』放送開始当初、事前情報が徹底的に伏せられていた中で最も鮮烈なインパクトを残したのがドラムの登場でした。巨漢でありながら機敏に動き回り、現地警察の追手を巧みにかわす姿に目を奪われた視聴者は少なくありません。その人気を不動のものにした最大のフックは、何と言ってもドラムのスマホ音声アプリによる独特な意思疎通スタイルでした。
劇中でドラムが自らの声を発さず、端末の合成音声機能を使って会話を行う設定について、演出を手掛けた福澤克雄監督は「言葉の壁を超えた親しみやすさ」を意図したと語っています。ドラム自身は日本語のヒアリング能力が極めて高く、相手の感情を即座に汲み取る繊細さを持ちながら、あえて端末を通して林原めぐみ氏のキュートで明瞭な声で発話する——。この「強靭な巨漢」と「可愛らしい音声」という強烈なコントラストが、視聴者の庇護欲と安心感を同時に刺激しました。
劇中で発せられた「野崎さん、ここは危険です」「ドラム、仕事できる」といったフレーズは瞬く間に流行語化し、公式からリリースされた音声機能付きグッズや特設アプリも即座に完売を記録。言葉数が少ないからこそ、豊かな表情と身振り手振りが際立ち、非言語コミュニケーションの極致として老若男女に愛される国民的キャラクターへと昇華したのです。